2017年02月02日

ヨーロッパを脅かすアラブの「人口爆弾」



夜、テレビをつけたら、「ゼロ」でトランプの移民対策や難民拒否の問題をやっていた。それなりの時間を割いてトランプを支持するアメリカの白人中間層の意見が放映されたので、「ようやく日本でも、もうひとつの面の報道もなされるようになったか」と思っていたら、キャスターが大学教授に意見を問い、「大衆にすり寄っていくのはポピュリズム(大衆迎合)だ」というまとめ方だった。

ならば、日本で難民受け入れキャンペーンでもやったらどうだ?
自分の国が外国人を受け入れるとなると「犯罪が心配ですぅ」「日本は均一社会なので、外国人の方には暮らしにくいと思いますぅ」と言い、アメリカが受け入れを拒否すると「それは許されない」では、部屋の窓を開けて、空気を入れ替えたくなる。
(日本の難民受け入れ数は、2015年度で27人しかいない。)

ちなみにトランプが入国を拒否をしたのは、イラク、シリア、イエメン、イラン、リビア、ソマリア、スーダンの7ヶ国。国名を聞いただけで「無理もない」と感じる人は多いはずだが、なぜか日本の新聞とテレビでは国名が伏せてある。
これらの国の人々に、アメリカまでの飛行機代を払えるはずがない。飛行機に乗るとすれば、例外的なビジネスマンか犯罪に関与する可能性が高い。

トランプへの批判そのものはとくにおかしなものではないが、報道の仕方はもう少し公正であるべきであろう。
(後記:国名については多少は報道されるようになったが、難民を受け入れた国でどんな問題が起きているのか、下記のドイツの事例やアメリカで起きた事件などを踏まえてほしいと思う。)

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結局のところ、アメリカがこれらの国からの入国を拒否しても、世界全体の中でのウエイトは低い。中東や北アフリカの難民が、自力でアメリカまで行ける可能性はほとんどないからだ。NGOや国際機関を通じてシリアからの受け入れは、これまでで1万5000人くらい。不安なのはむしろ、すでにアメリカで暮らしているこれらの国々の人々のビザ関係などであろう。

実際に問題に直面しているのは、ヨーロッパだ。地中海を渡り、トルコを経由して多くの難民が流れ込んでくる。シリア難民だけでも、約88万人がヨーロッパに流れ込んでいる。

難民は、無論、気の毒な人々である。私が取材した中でも、「AAR Japan 難民を助ける会」の人から聞いた話がある。その人はガーナの難民キャンプでリベリアから逃げてきた女の子に会い、「君には未来があるじゃないか」と励ましたら、こう言い返されたという。
「あなたは戦争を知らないでしょう。目の前で両親を殺されたこともないでしょう。銃を向けられたこともないでしょう。あなたには帰る国があるわよね。でも、私にはここが終点なの。」

胸が詰まる話だが、衣食足りて、教育を受けて礼節を知るのもまた人間である。
2015年12月31日から翌2016年元旦にかけて、ドイツの有名な観光地ケルンの大聖堂前広場や中央駅で、中東や北アフリカから来た1000人以上の移民による集団強盗強姦事件が発生した。公衆の面前で、下着まで剥ぎ取られた女性もいる。規模が大きく、警察官でさえも簡単には手が出せなかった。
これだけではない。ヨーロッパ諸国では、移民による強盗事件や強姦事件が頻繁に起き、社会問題化している。
※ドイツのウィキペディア記事「Sexuelle Übergriffe in der Silvesternacht 2015/16」によると、2015年大晦日〜2016年元旦には、推計で述べ1276件の犠牲者が発生。ケルンで1182件。うち497件が性的侵害。強姦はその一部であろうが、有名な事件である。にもかかわらず、日本のメディアは報じていない。「自粛」したのだろう。

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怖ろしいことに、シリア難民の問題など、実は氷山の一角に過ぎない。
中東や北アフリカの諸国ではこの30年間で人口が2〜3倍以上に膨れ上がっており、しかも人口ピラミッドは25歳以下の若年層が全体の7割前後を占めている。
少子高齢化に悩む日本から見ればうらやましい限りであるが、若者過多社会の弱点は雇用だ。子ども4〜5人のうち2人くらいは、何とか職にありつけるかもしれない。しかし、残りの2〜3人は無理である。これを「人口爆弾」という。

「人口爆弾」を抱えた時代は日本にも西洋にもあり、国内に働き口がない場合、次のような方法で解決してきた。

1.他国へ出稼ぎに行く(明治末期〜昭和初期の日本では、南米などへの移民が奨励された)。
2.他国を植民地化する(西洋帝国主義の理由のひとつ)。

この2つ以外では、戦争くらいしか解決策はない。

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ヨーロッパは、非常に難しい問題に向き合っている。地理的に近い位置にある以上、どうしたって難民はやってくる。「人口爆弾」も膨れ上がっているから、出稼ぎ者もやってくる。ヨーロッパが受け入れを拒否すれば、生きていくための選択肢として、犯罪に走るか、IS(イスラム国)やボコ・ハラムのような戦闘集団に「就職」するしかなくなる。そうなれば、中東・北アフリカ諸国の不安定要因になる。
そうかと言って、受け入れればヨーロッパ社会の不安定要因となる。

ケルンの事件のあと、ドイツのメルケル首相は「それでもドイツは難民を受け入れていく」と発表した。EU最大の国としての責任感、人道的な配慮、労働力を確保して経済力を維持しようとする打算もあるだろう。

そんなメルケルの対極にトランプがいる。トランプの発言が面白いのは、「きれいごとはやめよう!」という姿勢で貫かれ、現実と理想の乖離をあぶり出しているからであろう。

さて、人口増から人口抑制に転換する現実的なきっかけは、アジアやインドの歴史を参考にすると、「教育熱」である。どの町にも勉強ができる子がいて、「山田さんちの太郎君は、東京の大学を出て、○○物産に入って親のために家を建てた」などという話が出てくる。なかには町の若者数十人分以上の金額を1人で稼ぎ出す者もいる。そうしたことをきっかけに、子どもひとりひとりに教育費をかけるために、人々は子どもの数を減らすようになっていく。

だが、このような状況が起きるには、ある程度経済発展を始める必要がある。中東・北アフリカ諸国では、それほど石油が出るわけではないのに経済力があるのはチュニジアくらいで、地域大国であるエジプトの失業率も25%ほどに達している模様だ。人々が教育のために子どもを減らす段階には至っていない。
ヨーロッパへの移民は、まだまだ増え続けるだろう。

トランプは、メルケルの移民受け入れ策を「重大な誤り」と批判した。将来、「トランプの言ったことが正しかった」とならないことを祈るばかりである。
posted by たぬたぬ at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする